上野院院長 高桑 康太 医師
新宿院院長 佐藤 昌樹 医師
渋谷院院長 吉竹 俊裕 医師
高桑:このクリニックの構想を立てたのは、大学病院に勤務していた頃です。大きな病院には、重大な疾患の患者さん、急病の患者さんが多くいらっしゃいます。すると、分類としては軽度な症状の方への処置は、どうしても後回しになってしまう。やっと予約が取れて治療ができるかと思いきや、手術は数週間後、数ヶ月後になることも少なくありません。この構造上の問題をどうにかして解決できないかと思ったのがきっかけでした。
佐藤:僕はその頃、高桑先生と同じ病院に勤務していました。この問題は、多くの医師が抱えるジレンマですよね。いくら軽度な疾患だからといっても、手術をする限りは大病院の大掛かりな手術システムを使わなければいけないので、どうしても小回りが効かないんですよ。仕方のないことだと割り切ることもできると思うんですが、高桑先生からクリニックの構想を聞いた時に、「それはやるべきだ」と思いました。
高桑:前例のないことをやろうとしている中で、賛同者の存在はありがたかったですね。
吉竹:私は設立後に参加しましたが、初めてアイシークリニックの存在を知ったとき、そのコンセプトが非常に面白いな、と思いました。大学病院時代のジレンマについては高桑先生、佐藤先生とまったく同じです。大学病院や総合病院は平日の日中が外来診療で、夜間休日は救急患者のみ受け入れる体制ですので、仕事が忙しく平日休めない方などは特に予約が取りづらい。痛みなど、症状を伴う疾患をお持ちだと、たとえ数日でも長く感じられるでしょう。そんな方に、何度も平日昼間に通院するよう指示したり、数週間から数か月後の手術日程を伝えるのは堪えるものがありました。
高桑:そうですよね。そんな方々に、いかに早く治療を提供できるかということにアイシークリニックはこだわっています。だからこそ、土日、祝日問わず診療を行い、24時間予約を受付できる体制も整えたんです。このクリニックの存在自体が社会貢献になると、確信を持って設立に踏み切りました。
佐藤:視点を変えれば、日帰り手術クリニックがあることによって、大きな病院の先生たちは重い疾患、専門的疾患の患者さんと向き合う時間を確保できますし、手術する設備を持たない開業医の先生方は、手術が必要な疾患に対して今までよりもっと気軽に患者さんを紹介できると思います。医療業界全体のバランスを考えたときに、必要だったけど今まで誰も取り組んでこなかった役割がこのクリニックにはあると思います。
佐藤:まず前提として、当院で扱うのは軽度な疾患の手術が多いですよね。ですから外部の医師
からは、研究や工夫の余地があまりないのではと思われていることも多いと思うんです。
吉竹:そのイメージはあるでしょうね。ただ私自身もそうですが、実際に働き始めてから、粉瘤の手
術一つとっても、その奥深さを感じています。いかに効率よく、組織へのダメージを最小限にして手
術を行うか、合併症を減らすにはどういうやり方が最も良いのか、日々工夫の連続です。他の医師の
意見を取り入れたり、自分でも数をこなす中で洗練されてきて、色々と見えてくることがあります。
高桑:簡単な手術と思われがちですが、技術的な難しさや向上の余地は十分にありますよね。同
じ粉瘤でも、患者さんの負担を軽減するために、より素早く、より小さな傷で手術を済ませようと
思うと、決まりきったやり方では対応できなくなりますから。スピードと質の追求は、奥が深いと思
います。
佐藤:アイシークリニックで働き始めてから、「同じ時間で自分の何倍も多く手術をこなす先生が
いることに驚いて、もっと腕を上げたいと思った」という先生もいらっしゃいますしね。
吉竹:スピードに関して言うと、患者さんから「え、もう終わったんですか?」と言われるとちょっと
嬉しいですね。
高桑:「話してるうちに終わっちゃいましたね」みたいなことも結構ありますよね(笑)。
佐藤:僕は最近、「テープを剥がすときが一番痛かったです」と言われました。テープを剥がすの
も、もっと上手くならないと(笑)。
吉竹:あと、ここに来てよかったなと思えるのは、同じ分野の仲間が多いということですね。形成
外科医は絶対数が少ないので、クリニックや市中病院だと医師が1,2名でやっているところが多
いんですよ。アイシークリニックは様々な医局出身の医師が多数在籍しているので、ほかの医局の
先生と切磋琢磨できたり、キャリアの相談ができたりします。手術のやり方や考え方の違いなども
知ることができて学ぶところも多く、一気に視野が広がりましたね。